前編のつづき
恐れていたタイガー戦車の砲弾は、シャーマン戦車に命中すれば間違いなく装甲を破って撃破されてしまう強力なものだった。
そして、ドンたちの戦車砲はタイガー戦車の前面に当たっても、その厚い装甲によって跳ね返されてしまうのだ!
4両目が撃破されて残るは3両だが、攻撃開始間もなく3両目もタイガーの88mm弾頭に火だるまとなってしまった。
「この化け物戦車め~!」
残るはドンのFURY号と仲間の1両のみになった。2両は左右にタイガーを挟む形にしようと分かれるのだが、狙われた仲間に逃げ場は経たれた。ついにFURYだけの一騎打ちとなった!
タイガーからの砲弾に2発受けるが、運よく擦った感じで通り抜けた。
ドンはタイガーの背面へ回り、尻を狙おうとトリニーへ指示を出し続ける。
タイガーの砲塔が回転し、こちらに向いてくる間
「早く撃て!」「まだだ!まだだ!」「早く!」「まだだ!」
「いまだ!撃て!」と葛藤しながら
ドンの一瞬の機転によって、背後を取れた時に1発の弾がタイガー尻右部分へ貫通した!
続けて尻部中央にもトドメを打ち込んで、間一髪の勝利となったのである。
FURYの5人は、誰もケガもなく勝ったことにホッとするのであった。
しかし、通信機器が故障となり孤立無援となってしまうのである。
ドンは「俺たちだけとなったが、とりあえず命令場所へ向かうぞ!」とメンバーに言うしかなかった。
現場に到着するやいなや、爆発音がして車体が大きく揺れた。どうやら道に仕掛けられた地雷を踏んでしまったようだ。
キャタピラーが外れて動けなくなってしまったFURYは、修理にもだいぶかかりそうであった。
「ノーマンと、グレイディは、そこの建物を調べてこい!」
建物に入ったグレイディは、ノーマンに言いたいことがあった。
「俺が悪かったな・・ノーマン・・お前はいい人間だと思うよ・・」と。
建物を出たノーマンは、ドンから命令を受けた。
「ノーマン、向こうの丘へ行って見張れ!」と食べ物を渡してきた。
ノーマンは水筒と食べ物を持って、見張りに向かった。
食べながら見張っていると、しばらくして遠くから何か歌声が聞こえてきた。
よく見ると、それはドイツ軍の行進だったので急いでドンヘ伝えに戻ったのだ。
「どんな奴らだったんだ?何人くらいだ?戦車は?」
「戦車は見当たりませんでしたが、とにかく2,3百人くらいに大勢いました!」
ドンが「おそらく、SSの連中だ!」
するとグレイディやボイド「ちくしょう!こりゃ~やばいぞ!早く逃げよう!」
だがドンは信じられない事を言うのである。
「いや、ここを守るんだ!」
ボイドが言う「何馬鹿なこと考えてんだ!早く逃げるんだ!」
「お前らは行け!森へ隠れるんだ!ここは俺の家だ!俺だけでいい・・」
それを聞いたノーマンは戦車に上がり、僕も一緒にと言うのだった。
そして呆れた思いでボイドがトリニーと戦車に上がってきた。仕方なくグレイディも・・「それで、作戦は?」
5人は急いで全ての弾薬や装備を準備し終えると、ドンがしまっておいた酒を回し飲んで、語り合った。
そして間もなく、向こうから大軍勢の行列が見えてきたのだった。
ノーマン「来ました!」
ドン「よ~し、戦闘準備だ!」
ドイツ部隊は戦車と建物を取り囲み、調べに始まった。そして、ドンの戦車ハッチを開けると銃撃が開始されたのである!
ありったけの砲弾や銃弾を使って、大勢のSS部隊に攻撃を開始
新人だったノーマンも、人が変わったように撃ち続けた。
次々と現れて切りがないドイツ兵に銃弾も切れてしまい、外にある予備を取りにいくために煙幕を張るが逆にそれが周囲を見えなくしてしまうのだった。
忍び寄る携帯型対戦車砲(パンツァーファウスト)によって、ついにFURY号は側面を撃たれてしまう。
貫通した砲弾がグレイディの背中に当たって彼は絶命、それを見たボイドが泣き崩れた。
「立て!戦闘中だぞ!」と悲しむ暇もないドンだった。
ノーマン「もう弾切れです!」
「まだ大丈夫だ!小銃も、上に50mmもある! 上に行くぞ!」と、ドンは諦めないのだった。
しかし、トリニーは操縦席のハッチで撃たれ、ボイドがドンの真下で撃たれてしまうのである。
戦車の頭に装備している機関銃を使っていたドンだったがその時、見えない所にドンを狙った狙撃兵が忍び寄っていた。
そしてドンは狙撃銃に3発当たりハッチの中に倒れ入った。
ドンは息わずかでノーマンに言うのだった。
「悪かったな、ノーマン・・」「下に脱出口があるぞ・・」
その直後ドイツ兵の投げ入れた爆弾を見たノーマンは、慌てて下の脱出口へ身を入れた。
車体下にノーマンはじっとしていたが、一人の若いドイツ兵に見られてしまった。
手を挙げると、その兵士は何も見なかった様に離れていったのだ。
気が付くとすでにドイツ兵らは去っており、ノーマンは助かったのである。
再び車体に入ると、ノーマンは息絶えたドンに泣き崩れるのだった。
やがて、援軍が到着して唯一FURYに生き残ったノーマンは助け出された。
「君はヒーローだよ!」と言われながら、救護車で運ばれるのだった。
5人で闘った戦場跡と、ボロボロの姿になったFURYを見ながら・・
完–
FURYという戦車の名前が映画名となっていますが、戦争の愚かさと悲惨さと虚しさを体験したノーマンの戦争体験記だったと思います。
最初は人を撃てなかったノーマンが、戦争に入っていくうちに平気で撃てるようになてしまう何とも虚しい・悲しさも与えられました。
戦争は両方の正当意見がぶつかり合うものですが、力と力の出し合いで勝負が決まるのでは、単なる動物の世界と同じでしょう。
強い方が勝ち、そして勝った方が正しいということになる世の中であれば、そこはもはや戦国時代と同じに思えます。
「弱いもの虐めはダメ!」と子供たちに教育していながら、戦争は勝った方が正しいなんて まったく滑稽な話です。
現代は強力な核兵器を持っているならば、(誰にも文句を言わせずに)好きな場所を取って良いのですか?そう何処かの大きな独裁国へ問い訴えたいものです!
*今回の記事も一部分的ににスクショを取り入れております。