真実の「純粋な愛」をロボットが教えてくれる・映画「A.I」




映画 「 A.I 」

2001′  スティーブン・スピルバーグ監督作品

スタンリー・キューブリック監督の意志を次いで製作された映画ですが、この作品はすでに1969年に原作されていたとは、人間の想像力とは本当に凄いものです!

実は私もこの映画が作られる23年前の1978年、コツコツと学校の休み時間に書き上げていた小説が、まさしくこの作品にそっくりだったので公開された時は本当にビックリしました!

愛する我が子を亡くした悲しみは、経験者でなければ分かりません。その我が子が帰ってくれば、それがたとえロボットだとしても嬉しいものかもしれません。

この作品には、この世にある「純粋な愛」について深く教えられるものがあると思うのです!

STAFF

製作ースティーヴン・スピルバーグ、キャスリーン・ケネディ、ボニー・カーティス

監督・脚本ースティーヴン・スピルバーグ

原作ーブライアン・オールディス「スーパートイズ」1969年

VFXーインダストリアル・ライト&マジック

音楽ージョン・ウィリアムズ

CAST

デイビッド – ハーレイ・ジョエル・オスメント

ジゴロ・ジョー – ジュード・ロウ

ヘンリー・スウィントン – サム・ロバーズ

モニカ・スウィントン – フランセス・オコナー

マーティン・スウィントン – ジェイク・トーマス

アレン・ホビー教授 – ウィリアム・ハート

それではさっそく、この映画パンフレットを観ながら物語を想い出してみましょう。

【 あらすじ 簡単に】

時は未来のいつか

すでに地球の温暖化は進み、人口を抑制された人間社会には 人工知能を取入れたロボットとの生活が普通になっていた。

AIロボット工学のホビー教授は、「真の愛」を持つロボットを作ることに強い意欲を持っていた。そしてそれは親に対して「純粋な愛」を持つ、子供型のヒューマノイドロボットであった。

ロボット製造会社に勤めるヘンリーとモニカ夫妻には、不治の病になった一人の息子がいたが不運にも植物状態になって冷凍保存となっていた。

そして、ある日ついにそのヒューマノイドロボット試作型は完成し、その試作型を実験するため普通の家庭に派遣することになる。

やがて派遣するその家庭に選ばれたのは、息子が不運となっていたヘンリーとモニカ夫妻のところだった。

人間そのものだった子供型ロボットに当初モニカは戸惑いがちだったが、その子の世話をしているうちに次第に僅かな愛情を覚えてくるのだった。

ある時、ついにモニカは(デイビッドと名付けられたその子供型ロボットと)母子になることを決意すると、その取扱説明書に書かれている通りに起動言葉を告げたのである。

今の言葉は何? ママ・・

今、なんて言った?

僕のママ・・

この瞬間から、ディビッドは永遠にモニカの子供という認識スイッチが入ったのである!

モニカは、ディビッドにママと呼ばれて愛しさが増して、そして抱きしめるのだった。

モニカに対して深い愛を持ったディビッドは、日を追うごとに増していくのだった。そしてディビッドは心配も覚えてくると、こうモニカへ尋ねるのだった。

ママ、あとどのくらい生きる?

ぼく、ママが大好き だからいつまでも死なないでいて・・ずっ~と

その言葉にモニカは深く考えさせられるのだ。

モニカは息子のぬいぐるみロボット「テディ」を出して、ディビッドに与えた。その数日後、ヘンリーとモニカ夫妻のもとへ、突然本当の息子マーティンが戻って来れるようになる。

科学技術によって開発された新薬の効果で、植物状態から奇跡的に回復していったマーティンは日に日に良くなっていった。

お前、よくできているな~本物の子供みたいだ!」と、マーティンに言われるディビッド。

いつ作られたか分かる?それか最初に見たものを覚えているか?」と聞かれたディビッドは、覚えている最初の大きな羽の様なものの記憶を絵に描くのだった。

マーティンが戻って来てから、やはり本物の息子のほうへモニカの愛情は向けられていくのは仕方がなかった。ママがマーティンの寝る前に「ピノキオのお話」をしてあげているのを、ディビッドもそれを近くで聴いていた。ピノキオが人間になるその話に、ディビッドは夢を抱くのである。

ある時、ディビッドはマーティンに負けまいと人間と同じように口の中に食べ物を入れてしまった。すぐにロボット工場の緊急手術で助かったが、モニカの心は複雑だった。

治って帰ってきたディビッドだったが、さっそくマーティンに再び仕掛けられるのである。

ママの髪の毛を少し切って持っていると、ママに愛されるよ!」と、マーティンに けしかけられるディビッド。

ディビッドはそれを信じ、ハサミを持って深夜にママの部屋へいくが見つかってしまい、ヘンリーに不信感を抱かせる。更にまたある日プールで遊んでいた時、あるきっかけでマーティンがディビッドを溺れさせてしまう。

どうにかマーティンは一命を取り留めたが、もはや危険なロボットと思われヘンリーとモニカ夫妻に手放す決断を下されるのだった。

モニカは心を引き裂かれる思いで、ディビッドをドライブに誘う。ママと二人きりのお出かけに喜ぶディビッドだったが、ママは途中で森の中にディビッドを置き去りにしようとするのだった。

ママどうして僕を捨てるの・・?もし人間の子になったら、ママのところに戻っていい?

モニカは「人間に捕まらないで、同じロボットを探しなさいね・・」と告げ、心を鬼にした思いでその場から去っていくのだった。

すでにこの時代には人工抑制する意味でも、男女共に精巧に作られた風俗用のヒューマノイドロボットが活躍していた。

ジゴロ・ジョーもその一人で、女性用の男性ヒューマノイドだった。しかし、ある夜に客の部屋へ向かうと女性は何者かに殺されており、その犯人にされてしまう。

ママに置き去りにされてしまったディビッドは、仕方なくぬいぐるみロボットのテディと森を歩き始めた。

人間の子供になったら、ママが愛してくれるんだ!」と話すと、テディは「どうやって人間の子供になるんだい?

ママがお話しをしてくれた青い妖精に、人間にしてほしいと頼むんだよ!」とディビッド。

森を歩いていくと、廃棄されたロボットたちが部品を求めて集まっていた。すると そこに大きな月の様な気球型乗り物がやってきて、他の廃棄ロボットたちと共に捕まってしまう。そして、たまたまそこに逃げていたジョーも一緒に・・

 

連れて来られた場所は、ロボットを批判する人たちの集まるイベント会場だった。その会場で開催されていたのは、ロボットたちを破壊するイベントなのだ。

イベントの主催は、精巧に作られたディビッドを見て驚くが「たとえ子供でもロボットはロボットだ!」と破壊する舞台に連れて行く。ディビッドはそばに居たジョーの手を放さずに一緒に立たされることになった。

しかし、新開発の子供型ヒューマノイドであるディビッドは一般的にまだ知られておらず、会場

の人たちの反対意見によって破壊されるのを免れ、ジョーと一緒に逃げることができたのだ。

ディビッドが「青い妖精」のことをジョーに話すと、助けてくれたお礼に一緒に探すと言った。そしてまずは「ルージュ・シティ」へ行ってみようと誘った。

ジョーはある若者たちが乗る車を止めて、言葉巧みに車に乗せてくれるよう頼み、ディビッドを無事ルージュシティへ連れていった。

ルージュシティで二人は、何でも答えてくれるという「ドクターノー」という検索マシーンに入り、お金を払って「ブルーフェアリー」について質問した。

最終的にそのヒントは、危険なこの世界の果て「沈んだ都市・マンハッタン」にあることを知ったディビッド。

危険な場所だとジョーに言われるが、ディビッドは「ママに愛されるために、僕はそこへ行くんだ!」とジョーの反対を押し切る。

店を出ようとした時、突然ジョーに警官らが捕まえに来た。パトカーヘリに乗せられるジョーだったが、ディビッドが誰も居ない運転席へ入ってヘリを動かしてしまう。

こうして二人はヘリで目的地この世の果て「海に沈んだマンハッタン」へ向かうのだった。

 

[ライオンが涙する場所] ディビッドとジョーは、そこでホビー教授を探すと、自分にそっくりなもう一人の自分にビックリする。そして、そのもう一人の自分に大切なママを取られまいと思ってしまい壊してしまうのだった。

するとそこへホビー教授が現れ、「君はすでに、ほとんど人間になったロボットだよ!」と語る。

実はディビッドは、ホビー教授の亡くした息子そっくりに開発したものだった。息子への愛しさそのものだったのである。

ディビッドは、ロボット制作室でたくさんの自分と同じ子供型ロボットが飾られているのを見ると、大きく落胆の様な思いを感じる。そして、心の力が抜けて海へ落ちていくのだった。

海で漂ったディビッドは、ある希望のものを見た。そこへジョーが助けに来てくれたのだが、陸にあがった途端、ジョーは警察ヘリに捕らわれていった。

ディビッドは、さっき見た海中の場所へ向かった。そこは海に沈んだ遊園地コニーアイランド。そしてそこにディビッドが探していた「ブルーフェアリー」を見つけたのである!

お願いブルーフェアリー、僕を人間の子にしてください!お願いブルーフェアリー!

ディビッドは、その願いをずっと唱えていた。ずっ~と、ずっ~と・・

やがて乗り物のバッテリーは切れ、暗くなってもディビッドは「ブルーフェアリー」を見つめてずっと願っていた。また「ブルーフェアリー」も、ずっと変わらずにディビッドに微笑えんでいた。

そしてついに、低温によってディビッドの電源も停止していったのである・・。

 

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