「激突!」 DUEL
1971年 アメリカ
先日、押入れ奥のそのまた奥から出てきたのは、本当に懐かしい名作映画のパンフレット「激突!」だったのです!
これはまだ私が子供の頃に連れて行ってもらった作品だったので、後に有名になるあのスピルバーグ監督の作品だったとは知るはずもありませんでした。
その後TV映画でも何度か放映されましたが、まさにこの映画の内容は、近年に誰もが知っているあの「あおり運転」の究極のシナリオが描かれています!
日本語の題名は「激突!」となっていますが、英語の原題は「DUEL」ということで本当のタイトルは「決闘・果し合い」という意味になっているのです。
ささいなきっかけだけで執拗に追いかけられることから始まり、それがエスカレートしていった果ては、正に題名通りのDUEL(一対一の決闘)になってしまうという意表的シナリオ。そしてこれは、当時若きスピルバーグ監督の発芽作品となりました。
物語が進むにつれて追いかけっこは激しくなっていきますが、巨大なトラックが勢い凄く迫ってくる時それはまるで「映画 ターミネーター」と同じ様なBGM曲がかかるのも恐怖を倍増させます!尚且つ、結局誰がトラックを操っていたか不明だったということも、この作品の究極のポイントだったと思われます・・
スタッフ
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 リチャード・マシスン
原作 リチャード・マシスン
製作 ジョージ・エクスタイン
出演者
デニス・ウィーバー
それではさっそく、この懐かしの映画パンフレットを観ながら物語を想い出してみましょう!
「物語 かんたんに」
アメリカの田舎町、車で遠方へ出張に出かけた普通のビジネスマン(デニス・ウィーバー)は広大な砂漠の一本道を走っていた時、スピードの遅い1台の大型トラック(タンクローリー)を何気なく追い抜いて先を急いでいた。
しかし間もなく、突然に追い抜いたはずのあの大きなトラックが彼の車を危なっかしく追い抜くのである!
「おい!危ないじゃないか!」彼は驚いて叫ぶ。
そして、そのトラックは再びスピードを遅くして走るのである。
彼は急いでいるために再度このゆっくり走る大きなトラックを追い抜いたのだが、そのトラックは大きなクラクションを鳴らして彼に怒っているようだった。
「まったく、付き合ってられないよ・・」と彼は思った。
仕事の時間を気にして時計を見る彼は田舎のガソリンスタンドに寄ると、あの大型トラックも入ってきたのである。
彼はトラックの運転手がどんな奴かも気になったが、とりあえず給油を頼んで妻に電話をかけることにした。
ガソリンスタンドを出た彼は再び仕事へと向かうが、しばらく走っているとあの大型トラックが後ろに追いついてくるのがミラーに見えた。
勢いよく走ってくるトラックに彼は先に行かせることにしたが、前にきたトラックはまた遅く走るのである・・
こうなると完全に嫌がらせと分かり始めた彼は、仕方なくまた追い抜こうとするのだが、ついにそのトラックは追い抜こうとする彼を妨害するのだった!
「いい加減にしろよ!いったい何がしたいのだよ!」と、彼は呆れる。
故意にゆっくり走るトラックと仕事に急いでいる彼、正にここから本気の追いかけっこが始まるのである!
やがて彼は側道を見つけて一気に脇からトラックを追い越すことができたのだが、大きな巨体は信じられない馬力の持ち主でみるみるうちに追いついてくるのだ・・
それに気づいた彼は、アクセルを強く踏んでスピードを上げどんどんメーターの針が上がっていく。
ここから彼は、完全に逃げる側の恐怖を感じてきたのだ!
迫りくる大型トラックから大きなクラクションが響いて、彼の恐れは大きくなっていった。そして彼のハンドルを握る手が震えを覚え、車体にまで伝わってしまうほどであった。
「この速度に追いついて来るなんて、なんて凄い馬力の巨体なんだ・・」と彼は思った。スピードはさらに上がって、70~80マイル(110~128キロ)へなっているのにトラックはすぐ後ろに付いているのだ!
そのミラーに写る大きな巨体と執拗に鳴る恐怖のクラクション音、更に後ろのバンパーをつついてくる状況は、正に恐怖でしかなかった!
暫くして彼は一軒の店を見つけ、道路から離脱しその脇の空地へ車を滑らせるのだった。
どうにか車を止めることができた彼は、この迫りくるトラックとの恐怖から一旦逃れることができた。
「えらいスピードで突っ込んできたけど、あんた大丈夫かい~?」と老人が声をかけてくる。
少し首を痛めた彼は「大型トラックに殺されそうになったんだよ・・」
とぼとぼと彼は店に入っていくと、トイレで顔を洗いながら考えるのだった。
「何でこんな恐ろしい目に遭うのか?普通に出張へ向かっていただけなのに・・」
「異常に怖い思いをしたけど、とにかく無事で良かった・・」
が、しかし彼が席へ戻ると窓から見えたのは、あの巨体がすぐ外に停められている姿だった!
店の中を見渡すと、そこに男は5~6人座っている。でも誰があの運転手なのかは分からない。
「ただ遅いから追い抜いただけで、こんなに責めてくるなんて異常者かもしれない・・」
「いや、単にここに昼飯を食べに来ているだけなのかもしれない・・」
「しかしもし、もう一度あの巨体が押し迫ってきたら・・」
「いや、もっと落ち着いて考えなければ・・」などと不安でいろいろと考えてしまう。
彼はそこで仕方なく自分の勘に頼って、一番怪しいと疑った男に話かけてみたものの結局もみ合いになってしまったのだが、その男はまったく違う車で帰っていった。
すると、突然エンジンがかかり走り出したトラック。
彼は店を飛び出して追いかけるが、トラックは逃げていくように走っていった。
結局ドライバーの姿は確認できなかった彼は、再び車を走らせて出張へ向かうことになる。
しばらく走っていると、トンネル手前でスクールバスが止まっているのが見えた。
どうやらエンジントラブルがあったらしく、押してほしいと頼まれ手伝うことになるが案の定バンパーが食い込んでしまった。
そこに現れたのは、あの恐怖の巨体だった!
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