バーチャルの様な戦場で凄まじい体験だ!「プライベート・ライアン」





『 プライベート・ライアン 』
< Saving private ryan  >  1998′

平成10年  1998年 ロードショー作品

スティーブン・スピルバーグ 製作監督 作品

製作者、監督によっては戦争映画がこんなに違って作られるのですね~!
まったく、歴史に残るに相応しい見事な作品でした。

スタッフ、キャストが一丸となって演出された戦争の描写がリアル過ぎで
目をそむけたくなる程のリアルさ!

まるで、自分が撃たれてしまうかの様な戦場シーンは見事です!
冒頭、約30分もの間 浜辺の上陸作戦のリアルなシーン。
その随所でカメラワークが凄いのでした。

ノルマンディ上陸作戦は、史上最大の作戦で歴史上教科書に載るほど
有名なものですが、それをここまでリアルに再現映像化できるなんて
さすがスピルバーグ監督ですよね~!

この第二次世界大戦で、実際に起こった出来事をヒントにシナリオが
作られたそうです。

お話でも出て来ますが、1943年に日本軍によってアメリカの兄弟5人が
全員戦死してしまったという事実がありました。
祖国の残されたその母親にどう伝えればよいか、国としては本当に悩んだでしょう。
5人すべてですから。

監督も素晴らしいですが、今回のキャストもばっちり適応していました。
ミラー大尉は、トム・ハンクスでピッタリだったと思います。
最後にライアンの部隊と残ることになってしまった時の
考え同時に何度もうなずくシーンは、個人的にも「人生によくあること」の様に
とても私は好きなのですね~

まるで自分が体験しているかのような作品を、さっそくご覧ください!

 

キャスト

ミラー大尉役     トム・ハンクス

ホーバス軍曹     トム・サイズモア

ライベン2等兵    エドワード・バーンズ

ジャクソン2等兵   バリー・ペッパー

メリッシュ2等兵   アダム・ゴールドバーグ

ウエイド衛生兵    ジョバンニ・リビージ

アパム伍長      ジェレミー・デイビス

ライアン2等兵    マット・デイモン

ハミル大尉      テッド・ダイソン

 

スタッフ

 

製作        スティーブン・スピルバーグ

イアン・ブライス、マーク・ゴードン

ゲイリー・レヴィンソーン

監督        スティーブン・スピルバーグ

脚本        ロバート・ロダット

撮影        ヤヌス・カミンスキー、ASC

音楽        ジョン・ウィリアムス

 

 

それではここで、あらすじを簡単にパンフレットから追想します。

【ものがたり】

一人の老人が孫や家族を後ろに引き連れて、墓地へ向かって
小走りに歩いている。

 

1944年6月6日明け方、フランス・ノルマンディ海岸にて
史上最大の侵攻作戦が開始された。

沖合の海に埋め尽くされた、英米連合軍の大艦隊。
多数の上陸用舟艇が兵員を乗せて、浜辺へ進んでいった。

その中に、ジョン・ミラー大尉率いる第2レンジャー大隊の
C中隊の面々もいた。
5つの上陸ポイントのうち、ミラー隊が目指していたのは
オマハビーチだった。

しかし、そこにはドイツ軍の防衛軍が待ち構えていたのだ。
後に、<ブラディビーチ>と呼ばれたこの浜辺に
生き残れたのは、もはや<運>だけしかなかった。

上陸する前にも次々と撃たれて沈んでいく兵士たち。
浜辺に降りても、ドイツ軍の防壁によって抵抗は激しかった。

ミラー隊は、防壁の下から抜け道を作り上にようやく進軍
多くの犠牲者を出して、オマハビーチを占領できた。

アメリカ本国では、戦死者の報告を受けて、その親族へ知らせる係が
同じ家族から出兵した、ある兄弟の戦死名簿が照合され
一人を残して、全員の戦死を発見したのだった。

その事態を上層部へ報告すると、兄弟で唯一生き残っている一人を
母親の元へ無事に帰還させなければということになった。

数日後、ミラー隊は現地のキャンプにて新しい任務を渡される
第101空挺師団ジェームズ・ライアン2等兵を探し、国へ無事帰す
彼の3人の兄は、全員が戦死したのであった。

マーシャル将軍は、「ガダルカナルでの5人兄弟全員戦死の悲劇」を
2度と起こすまいと願っての今回の指令であった。

ミラー大尉はその指令を受け、同行させる兵士を選ぶ。
ミラーの片腕ホーバス軍曹ライベン2等兵メリッシュ2等兵
狙撃手ジャクソンウエイド衛生兵、通訳係アパム伍長カパーゾ2等兵
などの面々と共に、ライアンを探しに出発する。

なぜ一人の兵士を探すのか理由が解らないまま、ミラー隊は
まず降下地点のヌーヴェル方面を目指した。

ミラー隊は、ある廃墟となった小さな町へ通りかかると
米小隊が町でドイツ軍と闘っていた。
フランス市民の壊れた家屋で、残った家族を救おうとした時、
カパーゾがドイツ軍の狙撃兵に撃たれた。

「みんな伏せろ!どこから狙っているのだ?」
土砂降りの雨の中、カパーゾは道に倒れている。

ミラーはジャクソン狙撃兵に命令
向こう側の廃墟ビルから、こちらを狙うドイツ狙撃兵を見つけ
一瞬の差で、見事ジャクソンは阻止できたのだった。

しかし時遅く、カパーゾ等兵は助からなかった。
ライベンは、「ライアンなんかクソくらえだ!」と怒った。

その分隊にミラーは尋ねる。
「ライアンという落下傘兵を探しているが、こころあたりは?」
ライアンならいると言うので、さっそく会えたのだが
名前が違っていたのだった。

ミラー隊は、さらに進んでいくと、田園地帯に空挺部隊と出会い手がかりを摑む。
その手掛かりとなるラメルへ向かう途中、ドイツ軍の機関銃陣地に遭遇。
あとから続く味方部隊に被害をもたらす可能性もあるため、ミラーはここを
観て見ぬふりはできなかった。

「ここを排除しておかなければならない!」と仲間に訴えて撃破することに
なったのだが、貴重な衛生兵のウエイドを撃たれて失ってしまう。

ドイツ軍の一人を捕らえたが、ウエイドの墓を掘らせた後
ミラー大尉は、その捕虜を生きて逃がしたことでライベンの怒りは爆発
ホーバスとライベン、味方同士の殺し合いに発展しそうな時、
ミラー大尉は、自分の職業をみんなに告白した。

「ライアンなんて全くの他人だ。自分は早くこの任務を果たし
妻の元へ帰りたいだけである・・」と、ミラー大尉は、皆に言った。

このことで、仲間割れは一時終り、先へ進むことになる。

草原を進んでいた一向に、装甲車のエンジン音が聞こえた。
すかさず、身を隠して様子を観ていると、装甲車へむけて
他の誰かの攻撃があった。

そこに現れたのが、ミラー大尉が探していた空挺部隊で
ライアンも一緒にいたのである!

「君を探していた。祖国へ無事に帰還させる任務で来たのだ!」

「お兄さんが戦死したのだ。」

「何番目の兄ですか?」

「全員なんだ・・・・!」

ライアンは、しばし信じられないショックで覆われていたが、
そのうち、言葉を発した。

「自分だけ抜けるわけにはいけません!」

そこでライベンが怒ったように言った。

「お前を探しに来るのに、2人が死んだんだぞ!」

カパーゾウエイドの二人だ!」

しかし、ライアンの気持ちは変わらなかった。なぜならこの部隊は
ここを死守する任務があり、兵士の数も足らなかったのである。

どうしても聞かないライアンに、ミラー大尉は困りながらも
首を縦に何度もうなづくのだった。

「援軍が来るまで、我々も一緒にここにいるしかないか・・。」

 

乏しい兵力の中、ミラー大尉は空挺部隊と作戦会議を始めた。
みんなで武器になりそうな装備を準備する。

それぞれの配置を決めて、防衛に臨む準備。
配給された兵士の靴下も、対戦車爆弾として作られた。

そしてドイツ軍の迎撃まで時間を待っていた。
僅かな兵士のひと時の中、どこからかキャタピラの音が聞こえた。

塔に構えていたジャクソンが合図をしてきた。
ドイツ軍の兵力と戦車の数だ。

その中には、強力といわれたタイガー戦車がいたのだ。
「東からドイツ軍、タイガー2台、パンツァー2台、兵士数約50、
ほか20mm機関砲、自走砲など」

ミラー大尉は、敵の兵力に圧倒されながらも迎撃作戦を開始
するしかなかった。

2手に別れたタイガー戦車部隊は進んでくる。
味方部隊の爆弾発火合図で戦闘は始まった。

凄まじい戦闘の中、塔の上から狙撃してしたジャクソンも
戦車の砲撃で建物ごと破壊された。
20mm機関砲は手強く、兵士は粉々にやられてしまう。

アパムの銃弾を待っていたメリッシュも、皮肉なことに
前に逃がしたドイツ兵と殺し合いになって、しかも
オマハビーチでドイツ兵から奪ったナイフでトドメをされてしまう。

ついにミラー大尉は、橋の向こうへの撤収を決め
片腕役のホーバスも息絶えてしまった。

ミラー大尉も、タイガー戦車の砲弾で倒れ、最後一丁の拳銃で
戦車へ向けて撃っていた。

その時、突然タイガー戦車は爆発破壊した。
P-51タイガーキラーといわれた戦闘機が空から現れたのだ。

その戦闘爆撃機と共に、援軍が到着した。
ドイツ軍は撤退を始め、逃げていった。

アパムは、以前逃がしてあげたドイツ兵を捕らえ
メリッシュの仇を撃ったのだった。

そして、ライベンミラー大尉を見つけすぐに衛生兵を呼ぶのだが
「ライアン 命を大切にな・・」と一言のあと、逝ったのだった。

 

年老いたライアンは、ミラー大尉の墓の前にたたずんでいた。

「あなたに言われたことを忘れた日はありませんでした・・」

私は頑張って今日まで生きたかな?」

ライアンに妻が言った。
貴方は頑張って生きたわよ!」

ミラー大尉の墓に向かって、ライアンは敬礼をした。

 

—- 完 —–

いや~! 初めてこの映画を観た時、私は戦争体験が無いにもかかわらず
戦争の過酷さを身に沁みてしまったかのようでした。
今までに無いリアルな演出、シナリオでありました。

特に1対1の殺し合い場面は、目にしたくないほどの場面でした。
今でもその場面だけは、目にしたくはありません。
それほど強烈な場面なのです!

本当の戦争とは、こういうものなのでしょう。
まったく悲惨なものです。

同じ人間なのに、いがみ合い殺し合うなんて
そんな世界は存在さえしないほうがいいと思います。

生まれてきて最初はみんな素直だったはずで、悲惨な闘いなどは
幼い子供の時には思いもよらない概念です。

この映画を観ると、本当の戦争の無意味さが解ります。
人間のエゴが解ります。

人間は本質的には動物ですが、高度な理性を持った生物であるはずです。
動物的争いは、高度な理性で抑えられるはずなのです。
しかし、高度技術でも争い事だけは進化できないでしょうかね~

 

今回もご一緒に追想いただき、誠にありがとう御座いました。