パシフィック・ウォー
USS Indianapolis: Men of Courage
2016年 アメリカ
1945年、日本の戦争はアメリカの最終兵器「原子爆弾」で幕を閉じました。
その初めて日本の広島と長崎へ使われることになった新型爆弾を運んできたのは、アメリカの重巡洋艦インディアナポリスただ1隻のみでした。
しかし、極秘任務だったために運んだ後も護衛のないままで移動を強いられていたため、海の中からの攻撃には無防備だったのです。
そしてその結果、輸送任務を終えた後にレイテへ向かう途中のフィリピン海沖で、日本帝国海軍の潜水艦イー58の魚雷を受けて沈没してしまいました。
原爆を運んだ後には大きな代償を払うことになった重巡洋艦「インディアナポリスと乗員1200人の実話物語」ですが、このシナリオに出てくる言葉は、いまだに終わらない「人間と戦争の愚かさと切なさ」をしみじみと痛感させられるものであり、どうしても今回綴っておかねばと思った映画なのです・・
監督
マリオ・ヴァン・ピーブルズ
脚本
キャム・キャノン
リシャール・リオンダ・デル・カストロ
製作
リシャール・リオンダ・デル・カストロ
マイケル・メンデルソーン
キャスト
チャールズ・B・マクベイ3世大佐（艦長）
– ニコラス・ケイジ
マクウォーター機関長
– トム・サイズモア
エイドリアン・マークス大尉
– トーマス・ジェーン
ブライアン
–マット・ランター
ダントニオ
– アダム・スコット・ミラー
ウェスト
– コディ・ウォーカー
クララ
– エミリー・テナント
橋本以行（イ-58艦長）
– 竹内豊
それでは早速、この物語を映画パンフレットを見ながら想い出していきましょう・・
＊＊＊
【物語 あらすじ簡単に】
1945年3月 USS巡洋艦インディアナポリスは沖縄戦で損傷を被ったが、運良く修理できる程度のものだった。
真珠湾攻撃から数年が経過し、日本海軍に残された艦隊は今や弱小となっていた。
トルーマンが大統領となって３カ月、硫黄島や沖縄戦などで多くの兵士を失っていることを考えると、ここで早急に戦争を止める方法は一つ、原子爆弾を使うことだった。
上層部は秘密兵器の新型爆弾「原子爆弾」を極秘に運ばせるため、修理を終えたばかりの重巡洋艦インディアナポリスに命令を下すのである。（テニアン島でB29爆撃機に載せて広島へ飛ぶため）
インディアナポリスの艦長（チャールズ・B・マクベイ3世大佐）は一言呟く。
「戦争は終わらない。人類が存在しているかぎり・・」
間もなく艦長は、この極秘の任務を与えられるために呼び出される。
「艦長、運ぶだけの任務とはいえこれは極秘任務である。そのため、護衛艦は１艘も付かない！」
この艦へ乗り込む乗員は約1200名、その乗員すべてに様々な人生があり様々な人生の夢があったのだ。
ブライアンはニューヨーク出身で同じ新兵の通信兵であるダントニオとは友人同士。2人はこのインディアナポリスの乗員となるが、若い彼らにも人生の夢があった。
ダントニオは会ったばかりの司法判事の娘クララに夢中になり早々にプロポーズしてしまったが、実はブライアンが昔から憧れていた女性だったのだ。
某朝、人類史上初の原子爆弾を積んだ重巡洋艦インディアナポリスが、アメリカ西海岸から出港。
1隻の護衛艦もなく遥かテニアン島まで密かに航海するには非常に不安のあるものだった。
艦長は思った。「水上に浮かぶ艦隊や空から来る飛行機には十分対抗できる武器は備えているが、海の中からの攻撃には何も抵抗ができない・・」
「まして、日本海軍の新兵器魚雷（回天）にはジグザグ航行も通用しないのだ・・」
その頃、フィリピン海には日本海軍潜水艦イ-58が周囲の警戒をしていた。
しかし、回天を備えている艦にもかかわらず未だに1隻の敵船も仕留めることができず、艦長の橋本は悔しい思いでいっぱいだった。
一方、インディアナポリスは何事も無く順調に航行し、ハワイ諸島を経由で間もなく目的地の到着となる。
「サメたちは血の匂いを何キロも先から嗅ぎつけてくるんだぞ～！」
機関長のマクウォーターは、部下たちに海に潜む人食いサメの話を語って怖がらせていた。
無事にテニアン島へ到着したインディアナポリスは、極秘任務となる輸送が完了。
「今この積み荷を降ろすことで、これから先の戦争の形態が変わってしまうかもしれない・・」
と、マクベイ艦長は再び思うのだった。
次の任務は前線のレイテへ向かうことになったが、艦長が懇願してもなお「このインディアナポリスはあくまでも極秘艦である」ために護衛は付けられないと突っぱねられるのだった。
1945年7月30日 フィリピン海
たった1隻でレイテへ向かったインディアナポリスは、水面下に橋本艦長の潜水艦イ-58が潜んでいるいることを全く気が付いてはいなかった。
深夜、周囲を警戒していた橋本艦長に1隻の艦が航行している姿が目に入った。
「敵艦発見！至急に潜航だ！」
海上に浮かんで見張っていたイー58は、すぐさま海の中へ潜っていくのだった！
「方位右６０度、距離1500、目測12ノット 到達2分 魚雷深度４ 発射！ 」
橋本艦長の合図とともに最初に３発の酸素魚雷が放たれた後、続いて3本発射されたのだ。
そしてそのおよそ2分後、0：14 魚雷はインディアナポリスの右前方へ着弾！
突然の大きな衝撃に、船内は何が起こったのかとっさには分からなかった。
マクベイ艦長は艦橋へ急ぎ入り「被害状況を全て確認しろ！」
すでに艦内はあちこちで火の手があがり、船員の被害も多発してパニックになっていた。
新兵のブライアンとダントニオも逃げようとするが、火が回って火傷してしまう。
その頃、「魚雷命中！命中だ！」イー58 の艦内では初の功績に歓喜が上がっていた・・
「もうこの船は耐えられない！総員退去命令を出すんだ！」マクベイ艦長は決断を下した。
次々と海へ飛び込む船員たち、その一方で船に閉じ込められてしまった者も少なくなかったのだ。
やがて艦は真っ二つになった後、海の中へと沈んでいくのである。
「沈む艦から離れろ～！水流に飲み込まれるぞ～」
マクベイ艦長も最後まで残って退去指示をしていたが、船内爆風で海へ突き落された。
海へ落とされたマクベイ艦長らのすぐ横を過ぎる魚影は、ここに棲むサメたちだった。
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