あらゆる病を癒す力に感動と切なさを覚えた映画は「グリーンマイル」




『 グリーンマイル 』
THE GREENMILE

平成11年  1999年 アメリカ作品

処刑室へ贈られる受刑者が、最後に歩く緑色の廊下「グリーンマイル
そこは、生と死の分かれ道なのである。

1935年のコールド・マウンテン刑務所、ここへある時
ひとりの受刑者が送られてくる。

彼の名前は、ジョン・コーフィ
世の中のあらゆる苦痛を自分に吸い取る、不思議な癒しの力
それは、信じがたい出来事であるゆえ
彼にとっては、苦しい悲しいものになる運命へ

原作者のスティーブン・キングは、この映画について、
主人公のポール役である、トム・ハンクスを最初に
それぞれの登場人物である役柄が、すべて大きな当たりくじを
ひいたかのように、偶然と奇跡が重なったぐらいの適役集めに
大成功したとの喜びだったそうです。

同じように私も、トム・ハンクスが出演する映画作品を、
半分以上観ていますが、そのほとんどが素晴らしい配役を得ている
ものだと感嘆していたものです。

適役が揃っていれば、映画作品はリアリティが増すものですから、
より素晴らしさが観衆に感じてもらえるのですよね~!

キャスト

ポール・エッジコム役    トム・ハンクス

ブルータル         デヴィッド・モース

ジョン・コーフィ      マイケル・クラーク・ダンカン

ハル・ムーアス       ジェームズ・クロムェル

エデゥアール        マイケル・ジェター

アーレン          グラハム・グリーン

ディーン          バリー・ペッパー

パーシー          ダグ・ハッチソン

ウォートン         サム・ロックウェル

スタッフ

製作        デヴィッド・ヴァルデス、フランク・ダラボン

監督        フランク・ダラボン

脚本        フランク・ダラボン

撮影        デヴィッド・タッターソル

音楽        トーマス・ニューマン 

原作        スティーブン・キング

 

それではここで、あらすじを簡単にパンフレットから見てみますね。

 

【あらすじ】簡単に追想

 

老人ホームに過ごしているポールは、TVに映った名場面を観て
雷を受けたように衝撃を感じる。
そして、その姿を心配する友人のエレインに理由を語り始める。

*     *

1935年、大恐慌時代のアメリカにて
ジョージア州コールドマウンテン刑務所でポールは看守主任をしていた。

死刑囚のブロックを担当し、グリーンマイルを歩き電気椅子に座る
受刑者らを、できるだけ安らかに逝かせることが勤めだった。

副主任のブルータルハリーディーンらと共に看守の任務を遂行、
心得通りに行っていたのだ。
しかし、知事の親戚の新人パーシーの心無い性質に悩まされる。

ある時、ジョン・コーフィという大男が移送されてきて間もなく、
その大男は、ポールの持病の尿路感染症が悪化して苦しんでいた姿を
見るなり、不思議な力で持病をあっという間に完治させてしまった。

いったい、俺に何をしたんだ!」

貴方を苦しみから助けたんです! ボス

ポールは久し振りに苦しみから解放され、若者のように妻と夜を過ごせた。
その不思議な力に戸惑いながらも、大男の事情を調べたくなった。

ポールはジョン・コーフィという大男の犯罪について調べるため
弁護士のもとへ伺うが、優しそうにみえても突然変貌することもあると
大男のことを例えて語った。

デルという受刑者の処刑が執行される前日、看守パーシーに踏まれて
死にそうになったデルの可愛がっていたジングルズという名の
ネズミを、ジョン・コーフィが再び不思議な力で、蘇らせたのだった。

ポールは、そんな力を持ったジョンに少女を殺せるわけはないと
濡れ衣だったのでは?と考えるようになった。

そして、もうひとつ浮かんだのは
所長の奥さんの病気、脳腫瘍をジョンに治してもらえればという考えだ。

看守仲間にその話を持ちかけたが、バレたら全員クビになってしまうと
仲間は心配したのだ。

所長のためだ!ジョンの力で治せれば、全て変わるかも!」と
皆を納得させた。

作戦決行の夜、極悪受刑者ウォートンをモルヒネの睡眠薬で眠らせておき、
なまいき看守パーシーは、監禁室へ閉じ込ませることにした。

ジョンを連れ出そうとした時、一瞬目を覚ましてしまったウォートン。
前を通ったジョンの腕を掴んだウォートンだったが、間もなく
その腕を放して眠ってしまった。
ハッとした全員だったが、そのまま作戦を決行。

外に隠しておいたトラックにジョンを乗せて出発した。
所長の家に着き、事情を説明。納得してもらい
ベッドで病んでいる奥さんのもとへジョンを寄らせた。

光と共にジョンは、奥さんの体から病魔を抜き去る・・
すると奥さんの様態が嘘だったかのように改善したのである。

「ジョンはなぜいつもの様に吐き出さないんだ・・?」

ジョンはきっと自ら死のうとしているかもしれないと
ブルータルは思った。

しかし、それは違っていたのだ。
独房に監禁しているパーシーを連れ出して解放した時、
ジョンは歩くパーシーを捕まえて、奥さんから吸い取ったものを
彼に流し込んだのである!

パーシー!大丈夫か?」ジョンに放されよろめくパーシー。

ボーっと後ろずさりしたパーシーは、そのまま歩き始めた。

そして、極悪受刑者ウォートンの前に止まり・・
腰に持っていた銃で突然、ウォートンを何発も撃ったのだ!

ジョン!パーシーに何をしたんだ?」

ボス、理由を観せてやるから、俺の手を握ってくれ!」

やめたほうがいいと言われたが、ポールはジョンを信じていた。
恐る恐るジョンの手を取ると、凄まじい光景が浮かんできたのだ・・

その光景とは、ウォートンがあの幼い2人の子供を連れ出して、
残忍な事をする様子だった。

俺は2人の子供を助けられなかったんだ~抱えた時は遅かった

抱えて治そうとした時に、皆に見つかってしまい
ジョンは、残忍な犯人にされてしまったのだった。

ポールの落ち込む様子を見ていた妻が
どうにか助けることはできないの?ジョンは無実なのに・・

いろいろ考えたんだが無理なんだ・・
  無実だという証明ができないんだよ!」

ジョン・コーフィの力は、ここにいる看守の4人だけが知っている。

ジョン、俺に何ができるか?言ってくれ・・逃がそうか・・?
無実な君を処刑台に連れていかねばならない俺は・・

そばで聞いているブルータルもポールと同じ気持ちだった。
無実なのだから、逃がしてあげたい」と

ポールは心からジョンに言った。
人を癒す人間を処刑するなんて、俺はきっと神様から罰を受けるよ!」

しかしジョンは言った。

俺は疲れたんだから、これで良いのですよ・・

同じ人間が互いに争い合い傷つけあう、苦痛する世の中に・・

俺は映画を観たことがないので、最後に映画が観たいなぁ

ポールはジョンの最後のお願いのために、映画を準備してあげた。
4人の看守とジョンは、社交ダンスで踊り歌うスクリーンを観る。
ジョンは、初めての動画を観て大変嬉しそうだった。

 

数日後、ジョンはグリーンマイルを連れられ歩き
処刑室へ送られた。

ポールはジョンが居なくなった刑務所で、ネズミのジングルズを見つけた。

いったい何処へ行っていたんだ?ジングルズ!」

年老いたポールが、友人のエレインを近くの山小屋へ案内した。
そして、ネズミのジングルズを紹介して言った。

私はすでに108歳という歳になっている。
 このネズミも信じられないくらい長生きだろう?
 我々は、あのジョンに半分づつ力を与えられたんだと思う!」

私は息子でさえ先に見送ったのだ。そして貴方も見送ることに
なるだろう。私に与えられたこの罰は、いつになったら許されるのか・・

いや~! グリーンマイルというこの作品について
私は、最後まで観るまで題名からこんなストーリーだなんて
思ってもいませんでしたが、なんとも深い物語でしたね~!

ジョンのような不思議な力を持っている人間は
広いこの世界のことですから、もしかしたら
現実にいるかもしれないのではと思っています。

しかし、この作品が訴えたいのは
高度な知恵の同じ人間同士が、互いにいがみ合う悲しさや
愚かさなのだと最後のジョンの言葉で感じたものです。

無実で、しかも苦しみから救ってくれる力を持っているにも
かかわらず、刑を受けさせてしまったポールの罪悪感は
観ている人にも痛感させたことでしょう。

*   *   *

今回もご一緒に追想いただき、誠にありがとう御座いました。