それに気づいた彼は、急いで車をバスから引き離そうと 自らボンネットに乗り揺らし外す。
慌て急いで車に乗って逃げる彼だったが、トラックはスクールバスをゆっくりと押し始めたのである。
「あれっ、もしかしてバスを助けに来ただけなのか・・?自分の被害妄想だったのだろうか・・」
そう思った彼は、気を取り戻して再び車を走らせるのだった。
しばらく走っていると線路に列車が通るので、踏切に止まって待っていた。
するとそこへあのトラックが来て、彼の車を押し始めたのである!
「おい、何するんだ!やめろ~!」 通っている列車に彼の車をぶつけようとしているのだ。
必死にブレーキを踏んで耐えるが、彼の車は少しづつ前に押されてしまう。
やがて列車は通り過ぎ、どうにか耐えて助かった彼は急いで道路脇に車を寄せて避難すると、トラックは走り去っていった。
「いったいどうなっているんだ!奴は本当に殺そうとしてるのか?」彼は恐怖に震えたのである。
彼は恐る恐る車を走らせるのだが、しばらく走るとあの巨体はまた彼を待っているのだ・・。
一軒の店を見つけた彼は、そこでついに電話をかけて警察へ通報することにした。
しかしそこへトラックが突っ込んできたのだ!
彼は間一髪ギリギリ電話ボックスから出て逃げることができたが、巨体は周りをめちゃくちゃにしてしまうのである。
急いで車を走らせ逃げる彼を、その恐怖の巨体が追いかけ始める。
猛スピードで逃げると、追ってくるトラックが見えないうちに丘の陰に隠れるのだった。
どうにかトラックを巻いて落ち着いた彼は、そこで一旦眠りについた。
列車の通過する音に目を覚ました彼は、もういい加減にトラックは先に行ってしまっただろうと思い、先に進むことにした。
だが しかし・・
あの巨体は待っていたのである・・!
「もう、いい加減にしろ!いったい何がしたいのだ!」彼はまた走って追いかけるが運転手の姿は見せようとしないのだった。
通りかかった老夫婦に話しかけたのも阻止された彼は、ついに決意するのである!
「もうこうなったら勝負するしかないだろう!一対一の果し合いで」
彼はそう肝に決めると、車を走らせて巨体の前に出た。
そして、ここから彼と巨体との本当の決闘が始まるのである!
圧倒的な馬力で追いかけてくる大きな巨体のトラックの前に、負けずに走る赤い彼のセダン。
途中パトカーと見間違た車もあったが、とにかくトラックとの必死の追いかけっこは続く・・。
丘のアップダウンが続く道の中で、その馬力が限界を差す頃 彼の車から煙が出始めるのだった。
ラジエータの故障によって、エンジンはオーバーヒートになっていくのである。
峠の上り坂でトラックもスピードが遅くなっていたが、どんどんスピードが落ちていく彼の車。
「頼む~!頑張ってくれー」車に必死に願う彼だった・・。
どうにか下り坂まで走れたところで最後の力を振り絞る、煙が出る彼の赤いセダン。
下り坂の途中で一時エンジンがかからなかったが、ギリギリのところで巨体をかわした彼は、一気に勝負に出ることを決める!
彼は砂漠の丘の上へトラックを誘い出し、ここで一対一の決闘を挑むのであった。
間もなくその大きな巨体は、彼の誘い通りに後を追いかけてきた。
彼はアクセルペダルをバックで固定しドアから身を乗り出しながら、迫りくるトラックへ真正面から突っ込んでいくと、正面衝突の直前!彼は車から飛び出した。
トラックは彼の車と衝突し、前面が炎に包まれながら崖の下へ落ちていったのである!
崖の下へ落ちていったトラックを見た彼は、まるで子供のように飛びはねて喜んでいた。
それは正に、一対一の決闘に勝った時の勝利の喜びであった。
しばらくして夕陽が差す頃、正気に戻った彼には虚しさが残っていた。
結局あのトラックのドライバーが誰だったのかも分からず、そしてこの意味の無い出来事は何だったのだろうか・・と。
完–
*いや~久しぶりに想い出してみると、あの大迫力で追いかけてくる大型トラックには本当に恐怖を与えられるものでしたね~!まだ若きスピルバーグ監督の才能が、この映画作品の時にすでに出ていたことが分かります。
内容はあおり運転の究極のエスカレーションした結末になりますが、結局相手が誰だか分からなかったという結末も不可解で良かったと思います。
ここから後に有名になった「ジョーズ」が作られたわけですが、恐怖を与えられるシナリオには今回の作品が大きな原点となったのでしょう。
とにかく古い作品ですが、今になっても十分に観る人を怖がらせることができるシナリオと演出、そして見事な描写だったと思っています!
今回は実に懐かしく貴重な映画を想い出すことができて、本当に良かったです~(*’▽’)
*今回も一部スクショを取入れております。