『コンテイジョン』(Contagion)
2011年 アメリカ映画
高い確率で死をもたらす感染症の脅威を、まるで予知して製作されたかの様に詳細に表現されている作品でした。今から思えば、まさにこれは「予知された物語だった!」と言えるでしょう。
世界中に広まっていくウイルスパンデミック状態、現実に2020年初頭から始まったコロナウイルスの情勢を、そのまま同じように表現しているところは本当に驚きしかありません。
公開当時は軽く見ていたことですが、今これを観ると「日常的に手で触る全ての箇所」にウイルスが付いていると思うべきなのだと痛感させられることでしょう。
およそ10年前に作られた映画でしたが、それが本当に現実となるなんて誰も予想できなかったと思います。今ではマスクの要らない時代が懐かしく思いますが、この作品が現実になってしまったのですから仕方ありません。
*スタッフ*
監督 スティーブン・ソダーバーグ
脚本 スコット・Z・バーンズ
製作
マイケル・シャンバーグ
ステイシー・シャー
グレゴリー・ジェイコブス
製作総指揮
ジェフリー・スコール
マイケル・ポレール
ジョナサン・キング
音楽 クリフ・マルティネス
撮影 ピーター・アンドリュース
*キャスト*
レオノーラ・オランテス医師:マリオン・コティヤール
ミッチ・エムホフ:マット・デイモン
エリス・チーヴァー医師 :ローレンス・フィッシュバーン
アラン・クラムウィディ:ジュード・ロウ
ベス・エムホフ :グウィネス・パルトロー
エリン・ミアーズ医師:ケイト・ウィンスレット
アリー・ヘクストール医師:ジェニファー・イーリー
イアン・サッスマン博士:エリオット・グールド
それではさっそく、この映画パンフレットを見ながら物語を想い出してみましょう!
【物語 かんたんに】
香港空港のカフェ席にて、体調が悪そうに咳が出る女性ベス・エムホフ 。この話の発端となる女性の2日目である。
昨夜一緒にいた男性から電話がかかってきて「具合が悪そうだね、大丈夫かい」
彼女は店員にカードを渡して支払った。店員の女性はカードを受け取って清算ボタンを押す。
香港の公共船で、一人の若者が体調が悪そうにしている。手すりに掴まりどうにか立っているが、その後、その若者は街で意識が遠のいてしまい車にひかれてしまうのだった。
イギリス ・ロンドンにて ここでも一人の若い女性が体調を崩していた。やがてホテルのバスルームで泡を吹いて倒れているのが見つかる。
アメリカ・ミネアポリスにて 最初の女性ベス・エムホフ が、香港から自宅へ帰宅。幼い息子が喜んで抱きつく。後日、夫のミッチ・エムホフは体調を崩した息子を学校へ迎えに行ったが、その日突然妻のベスは倒れて病院で急死。間もなく息子も同じく急死してしまった。
後日ベス・エムホフの検視が行われると、解剖医は異常な脳の状態に驚愕するのだった。
同じ頃、香港から東京へ帰国する飛行機に乗っていた日本人会社員も体調が悪くなり、そして帰国後にバスの中で倒れてしまう。
ジョージア アトランタ 疾病管理センター(CDC)のエリス・チーヴァー医師とエリン・ミアーズ医師は、解剖医の報告から本格的な調査をスタートする。
ミアーズ医師は、最初に犠牲となったベス・エムホフについて調べるため、勤め先のアルダーソン社へ赴く。すると、彼女を空港へ迎えに行ったという男性社員がいたことを知り、急いで公共機関を使わない様に電話で伝えたが、彼はすでに体調が悪化しつつあった。
ミアーズ医師は隔離処置されているベスの夫ミッチ・エムホフに話を聞きに行くが、1週間以上も経過して発症が出ていないことから、どうやら夫の方は感染してはいないようだと分かった。しかし、ベスが香港から帰宅途中にシカゴの元恋人に会っていたとことを、ミッチは知ってしまう。
チーヴァー医師は、アリー・ヘクストール医師が検出した分析結果によってウイルスの構造を知る。それはコウモリと豚の細胞遺伝子と人との細胞遺伝子が結合し変異した新種のものだった。
新種のウイルスと分かりレベル4の危険性になったことで、チーヴァー医師はその危険度を報道することになった。
サンフランシスコのイアン・サッスマン博士は、レベル4の危険性から研究を中止と言われていたが、研究を続行して培養を可能にする。しかし、WHOとCDCではこれを使ってのワクチン開発にはまだ相当の時間がかかると報道で伝えた。
フリージャーナリストのアランは自分の記事を売り込みするため、ページを作ってアクセス数を伸ばしているが、このウイルスの特効薬として「レンギョウ」が効くと記事にしていた。その後、彼のネット記事は世界でも読まれるようになり、各地の店に品切れによる混乱も起こしていた。
その頃、隔離から解放されたミッチは、娘を連れて病院を出るが、すでに病院は人でいっぱいになっていた。ミッチは娘に誰とも接触はしないようにと辛い話をした。ベスと息子の葬儀を済ませたいが、葬儀社では感染者の遺体を受けることができないと断られ、火葬するしか方法はなかった。
ミアーズ医師は、ウイルスの発症患者を集める施設を用意しておくため、広い体育館を決めていた。
様々な調査や手配で飛び回る彼女をチーヴァー医師は心配していたが2週間後、どこで感染したのかこのミアーズ医師も発症し始める。
咳から始まり高熱が出てしまった彼女は、チーヴァー医師に知らせるだった。
「私も感染して発症してしまいました・・誰かにうつしてしまったかもしれない」と。
それを聞いたチーヴァー医師は急いでミアーズ医師を連れ戻す手配をし、広い感染病棟となっている体育館へ移したがそれ以上は何もできず、残念ながら彼女は息を引き取ってしまった。
次々と埋葬される数に、やがて遺体を納める袋も無くなっていった。
その頃 香港では、最初の発症者ベスがどこで感染したかを調べていた。そしてカジノのVTRを観ると、彼女が誰と接触していたかが判明する。イギリスで亡くなった若い女性や日本人、そこで働いていた香港の若者はベスの使ったグラスをかたずけていた。
WHOから香港に調査に来ていたレオノーラ・オランテス医師は、突然一緒に組んでいた男に拘束されて小さな村へ連れて行かれる。自分の村の人々を救うためにワクチンを優先的に手に入れたいと、彼女を人質にしたのだ。
事態はしだいに深刻になっていく。大統領は密かに安全な所へ移り、連邦議会はネットによる会議を取入れることに。これは過去にあったスペイン風邪と同じ被害をもたらすかもしれないとチーヴァー医師は思い、妻に早くシカゴから出る様に伝える。
ミネアポリスのミッチは娘と買い物へ出るが、街では各地で暴動が始まりスーパーマーケットは商品が略奪され銀行は壊されている。まさに弱肉強食のような無法地帯になっていた。そしてさらに、州のロックダウンにより道路は封鎖されてしまうのだ。
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